人それぞれに固有の歩行率(1分間当たりの歩数)は非常に正確に計測され、その歩行率の変化から日常の行速度の僅かな低下をも正確に捕捉できます。
例えば左上のグラフの人は12月、1月とも124歩/分と128歩/分が突出して多いので、126歩/分あたりが歩き易いテンポです。そこから、この人の日常の歩き易い歩行速度が時速5.7kmだと計算できます。
- その人の固有の歩行率(歩き易いテンポ)は、グラフのように日常生活で突出して頻繁に生じていて振れ幅も狭いため、人それぞれ固有の歩行率を明確に特定できます。
- 歩行速度は歩行率×歩幅(公式、分速)です。歩幅/歩行率と定義されている歩行比はある程度の期間一定で、歩幅=歩行率×歩行比と読み替えると歩行速度は[歩行率の二乗×歩行比]で計算できます。
- 歩行比の変化は歩行率の変化よりずっと小さいため、歩行速度の変化率≒歩行率の二乗の変化率≒歩行率の変化率×2となり、(注:変化率が小さいため、2倍と計算できます)正確に計測できるのです。確かに歩行比は人によって多少異なりますが同じ人では同一なので、変化は正確に計測できるのです。
- 歩行比は0.006前後なので、多少の誤差があるものの、歩行速度もかなり正確に計算できます。(126歩/分)×(126歩/分) ×0.006×60(時速換算)/1000(km換算)=5.7km/時
右上のグラフの人では12月、1月とも128歩/分が突出して多く、128歩/分弱が歩き易いテンポで、歩行速度は同様に時速5.9kmです。
それぞれの歩行率の計測精度が非常に高いため、グラフの歩行率の分布は、日常生活の連続歩行時の様々な歩くテンポをそのまま反映しています。
但し、この現象は歩き続けている連続歩行のときだけに限って見られるものです。連続歩行以外のときは、そのときどきの状況に応じて速さを決めているため、バラツキが非常に大きくなり、頻度の多い速度、テンポも変わります。また計測も非常に不正確になります。計測が不正確になる理論的根拠は説明が複雑なので、ここでは割愛します。
何故、特定の歩行率が突出して頻繁に生じるのでしょうか?
人は普段より10%速く歩くだけで早々に疲れを余計に感じてしまいます。逆に10%遅く歩くとまどろっこしく感じます。そのため、速さを特に意識しないときは、無意識のうちに歩き易いテンポ、速さで歩くことが多くなります。
誰でも“歩き易い速さ”とか“普段の歩く速さ”があるとお感じと思いますが、グラフ1はそれを視覚的に捉えたものなので、ある意味では当然のことなのです。そして、その速さの振れ幅が驚くほど狭いことが検証されました。
人が速さを意識せずに歩くときは、無意識の内に非常に敏感に速さを選んでいます。これに関する学術論文も既に幾つも発表されています。
グラフの山が幾つも生じている場合は、どう見たら良いのでしょうか?
70%以上の確率で、特定の歩行率が突出して頻繁に生じていることが確認できています。
そうでない場合、グラフをどう見れば良いのでしょうか?
- 人と連れ立って歩くことが非常に多い場合は、当然にそのときのテンポ、速度が多くなるので、山が複数できる場合があります。早歩きの運動習慣があって、その量が多ければ、やはり山が複数できる場合があります。急な坂道が多い生活環境でも同様の可能性があります。
- ご自身では、人と連れ立って歩いた時間が長かったとか、早歩きの運動習慣があるとか、個別の事情が分かっているので、そのときは遅いテンポの山や速いテンポの山を除外して見れば良いのです。先にも述べましたが、それぞれの歩行率は、実際に生じた歩行率を忠実に反映しています。
- ずっと長期で推移を見れば、幾つ山があっても、歩行能力が衰えてくると、山は次第に低い方に移っていきます。極端に言えば、スタスタ歩く虚弱な高齢者はいないのです。山の位置(歩行率)は正確なので、僅かな歩行能力の低下も確実にグラフに反映されます。
毎年同じ時期、2,3カ月ほど集中的に計測しましょう
アプリを開く操作が面倒なら、必ずしも毎日計測し続ける必要はありません。
夏場は暑さに負けて歩行速度が落ちるときが少なくありません。歩き易い速さは季節によって多少変化します。ですので、小さな変化を見逃さないためには毎年同じ時期を比較していくことが大切です。
数日の計測だけでは、そのときどきの事情に影響される危険性があるので、少なくとも3,000歩、できれば5,000歩以上歩いた計測日数(アプリを開いて計測された日数)が季節ごとに20日以上あることが望ましいです。日々の歩数が少ない人は、その分、計測日数を多くしましょう。雨で外出しなかった日などは除外して日数を数えてください。
歩行率が110歩/分くらいまで落ちている人は、ずっと計測を続けて、速さを維持、回復できるよう努めましょう!
特に夏場は要注意です。
夏場はどうしても速さが落ちる傾向にあります。問題は、秋になって春と同程度にまで回復できているかどうかです。
そのためには、春、夏、秋、それぞれのテンポ、速さを計測して確認することが望ましいです。 100歩/分近くまで落ちると、体はかなり虚弱になってきている可能性が高いです。そうなる時期を遅らすことが健康長寿の秘訣です。人は脚から衰えると言われています。
落ち始めたと思ったら!
僅かな回復を確認できるのも大きな利点
知らず知らずの内に歩き方も変わっていませんか?
体の重心が後ろに残ったまま足先だけ前に踏み出すようになっていませんか?腰から前に押し出して大きく踏み出すようにすると、自然に歩幅も広がり、テンポも速くなります。すると重心が前に出て、踵から着地するようになります。(弊社は医療機関ではないので、正確な知見は専門家に確認ください)
それを左右交互に繰り返す習慣を身に付けましょう。最初は少し歩き辛く、慣れるまで少し時間がかかるかもしれませんが、しばらく経つと歩行率、歩行速度が改善していることを確認できると思います。
このアプリは、歩行速度の低下を測るだけではありません。歩行速度の僅かな回復も確実に捉えられるので、回復努力の成果を確認でき、回復への自信が湧くのが大きな利点です。
回復方法の効果の検証
サプリメントや運動で回復を図るとき、これまではその回復効果を数値で確認することができませんでした。
このアプリは、その効果を数値で明確に確認できます。たとえ3%程度の僅かな回復でも確認できます。回復が確認できれば、回復意欲を維持できます。
若さを保つために
誰しも50歳以降、歩行速度は次第に落ちていきます。人によっては40歳頃から落ち始めます。
早めに対処すれば、その分回復は容易です。50歳以降は数年刻みで変化を確認してください。60歳以降は年単位で確認した方が良いでしょう。普通に歩いていて追い抜かれることが多くなったとお感じであれば、是非頻繁に確認してください。幾つになっても回復は可能です。