Cell誌の姉妹誌Heliyonに、根拠を明らかにした学術論文が掲載されました。
Characteristics of cadence during continuous walking in daily life https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2024.e29969
研究論文の概要
- 歩行速度が人の健康、重篤な疾病や健康寿命と深く関係していることを実証した学術研究は既に数多くある。
- 人それぞれに固有の歩行率(歩くテンポ、1分間あたりの歩数)が日常生活で顕著に頻繁に発生しているという、これまで未発見だった新たな現象が存在することが実証された。
- この固有の歩行率は短期的には一定だが、老化に伴う歩行能力の衰えと共に次第に低下していく。
- この固有の歩行率は非常に正確に計測できるので、従来は不可能だった僅かな変化の検出が可能になった。
- その結果、老化の過程を数値で追って、元気な時期(凡そ50歳前後)から虚弱予備軍までの間、見逃しがちな歩行能力の衰えの早期発見、気付きが可能になり、まだ回復がし易い早期に対処できる。
研究論文の意義
- 歩行速度=歩行率×歩幅で計算できる。(歩幅/歩行率)で定義される歩行比は、速度に拘わらず短期的には一定(概ね0.006)であるため、歩行速度=歩行率の二乗×歩行比となり、歩行率から歩行速度(日常の歩き易い速さ)が計算できる。
- つまり、健康と深い関係にある歩行速度の変化は、歩行率の変化で計算できる。
- 具体的に示すと、すべての人は、元気なときの歩行率120歩/分内外(時速5㎞)が、虚弱ないし虚弱予備軍になると100歩/分程度(時速3㎞)にまで低下する。その間の20%程度(速度では40%)に過ぎない変化を正確に追うことが可能になった。
- 歩行能力の僅かな回復も数値で確認でき、回復意欲の維持、向上が期待できる。運動やサプリなどの回復手段の効果も数値で確認できる。